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精密根管治療だけでは、根管の病変は治らない。
コラム
2023/01/07
患者様の中には、マイクロスコープを使って精密根管治療をすれば、根管の病変は治る(良くなる)と考えておられる方も多いのではないかと思います。
しかし、実際はそう上手くはいかないのです。
根管治療専門医の間では有名で面白い論文をご紹介します。
(1995年のRay and Trop のリサーチ)
①適切な根管治療を行い、被せ物や詰め物が良好(隙間がない)なら根管治療の成功率は、91.4%(good+good)
②不適切な根管治療を行い、被せ物や詰め物が不良(隙間がある)なら根管治療の成功率は、18%(no good+no good)
③適切な根管治療を行い、被せ物や詰め物が不良(隙間がある)なら根管治療の成功率は、44.1%(good+no good)
④不適切な根管治療を行い、被せ物や詰め物が良好(隙間がない)なら根管治療の成功率は、69%(no good+good)
この①~④からわかることは、精密な根管治療をしても、その後に行う被せ物や詰め物に隙間がある(適合が悪い)と成功率は半分以下になる。
原因は、被せ物や詰め物の隙間からの細菌が侵入し根管内が再感染してしまう。
逆に、面白いことに隙間のない被せ物や詰め物(適合が良好)は、根管治療がそこそこであっても成功率がほぼ7割になる。
この論文からわかることは、根管治療の質と被せ物の質の両方が根管治療の予後に影響を与えているとうことなのです。
根管治療後は、隙間のない精密な被せ物や詰め物を入れないと、その根管治療は失敗しますよとも言えます。
口腔内の過酷な環境に耐えることの出来る精密な被せ物の治療がいかに大切かということがよくわかります。
私が、精度の高い(適合性の良い)被せ物を入れるための診療技術にこだわる理由はここにあります。
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